与謝野町商工会青年部 砂後隆正 部長

 与謝野町では、子どもたちが楽しめるイベントが減っており、地元の小さい祭りには出るものの、大きなお祭りのために外へ出ていく傾向があります。そこで与謝野町で思い出になるお祭りをしようと3年前から青年部主催で地元のお祭りを大きくしていっています。与謝野町は山から川、海まで繋がっている珍しい地形で、そこで山の日(8月11日)に海で花火を打ち上げるというコンセプトで「海山絶景花火」と名づけ、1,200発の花火を打ち上げました。打ち上げ花火はサイズによって保安距離に規定があり、打ち上げ会場を阿蘇シーサイドパークの公園から海上に変更したことで、3号以上の大きな玉を扱えるようになったのですが、道路を通行止めにするなど警備計画は大変でした。おかげで雨天にも関わらず来場者は増えました。ステージでのイベントや模擬店も設けましたが、模擬店は的屋を呼ぶのではなく与謝野町内の飲食店や団体など地元の方に限定。「与謝野町の食材を一品つける」という条件をつけ、女性部にも出店してもらいました。女性部には助けてもらってばかりです。
 また、与謝野町の米「京の豆っこ米」を知ってもらうための「どろんこバレーボール大会」を開催。田んぼの中でバレーボールをするのです。田植えをしていない田んぼに水を入れるので、泥だらけで足を取られて盛り上がります。優勝商品は「京の豆っこ米」2俵です(笑)。
 研修もしていますが、実際にイベントの実行委員として交渉ごとなど新たなことに挑戦すること自体が資質向上につながると考え、少しでもなにか変えていこうと試みています。失敗もするし躓くこともありますが、それも学びと挑戦しています。地域も盛り上がりますよね。今回の花火も、寝たきりの高齢のご夫婦が「会場に行けなくても遠くからでも花火が見られてうれしかった」というコラムを新聞に投稿してくださったのを読み、大きな花火を打ち上げてよかったと思っています。

伊根町商工会青年部 倉亜衡 部長

 毎年「伊根花火」という夏の花火大会の協賛・運営などサポートをしています。打ち上げ場所は伊根湾の海上。その会場設営の手伝いから取り組み、当日は、会場警備も担当しつつ、露店を出して、ビール・たこ焼き・冷やしきゅうりなどを売り、最後は、会場の片づけまでを担っています。他の花火大会との違いは、舟屋群のちょうちんの灯りと、それを照らし出す花火の光が織りなす幻想的な風景です。打ち上げ場所の伊根湾をぐるりと囲んだ土地柄、あらゆる方向から花火を楽しめるのがポイントだと思います。駐車場がまだまだ少ないのが課題ですが、道の駅「舟屋の里 伊根」からも見ることができますし、学校の校庭などを駐車場として開放しており、口コミで来場者が年々増えていて、毎年約5,000人ほどだと聞いています。また、2017年度は、管外視察として、主張大会の全国大会の会場だった沖縄にもいきました。

 部員は個人事業の方が多く、農業、漁業、宿泊業、建築業など。10数名と少人数ですが、狭い地域なので部員同士は商工会以外でも出会うことが多く、だいたいお互いに顔見知りで、若い力として地域にも頼りにされています。地元出身の人がほとんどで、「この町の魅力を発信する」という青年部の先輩たちの想いをしっかり引き継いでいます。伊根町といえばやはり舟屋。うちも舟屋をリノベーションした旅館を経営していますが、その魅力を伝えられるように活動していきたいです。

京丹波町商工会青年部長 樹山哲也 部長

 毎年11月に京都府立丹波自然運動公園で「京都丹波ロードレース」という大会がおこなわれますが、そこで同時開催する「京都丹波ふるさと特産展うまいもの市」で地域活性のサポートとして、焼きそばで出店しています。京丹波町のPRの一環でもあり地元の食べ物を使った店が数多く出店されます。特産品のハタケシメジを使った料理を作っていたこともありますが、最近は「俺たちの焼きそば」というブランドとして、焼きそばを焼いています。また、旧三町の夏祭りのひとつ「京たんば夏祭り」でも出店しています。花火大会として県外にも知られているお祭りでプロの露店もあるので内容が制限されていて、最近は「餃子とビール」で出店。とても人気で、花火をゆっくり見ている暇もないほど忙しく、売り上げは財源づくりとしても非常に助かっています。  
 6月10日の商工会の日は、2011年に東日本大震災をきっかけに「絆」や「地域との関係性」がクローズアップされた流れで、クリーン活動がスタートしました。地域の方への感謝を表現する運動として午前中に清掃をおこなっており、毎年継続しています。
 また「主張発表大会」のブロック大会には、通常、各団体から一人ずつ出場するところを、2017年度は二人出場することができました。原稿をみんなでいっしょに作成したり、スピーチの練習に付き合ったりなど、仕事を終えてから集まってみんなで協力してサポートしました。残念ながら先へは進めませんでしたが、協力し合えたことには大きな意味があったと思います。この数年は、上下関係を取り払い、「イベント委員会」「研修親睦委員会」という二つの部署を作り、それぞれが年齢を気にせず自分たちで考える全員参加型として関係を築いてきました。だからこそ意見が出しやすい雰囲気が作れているのだと思います。異業種の人と交流する機会は少ないので青年部で活動して本当によかったと思っています。

京北商工会青年部 東昇平 部長

 約10年前から地域振興事業として毎年7月末ごろ京都市京北森林公園で「森のカブトムシドーム」を主催しています。林に10m四方程度のネットを張り、そこに500ペア(1,000匹)のカブトムシを放ち、それを子どもたちが捕まえるイベントで、300人ほどの来場があります。捕まえたカブトムシはワンペア500円で持ち帰ることができます。
当日は、地元の飲食店による飲食ブースを設け、ステージで地元の和太鼓、三線などが上演されたり、自慢の水鉄砲を持ち寄って的(商品)を倒すウォーターバトルがおこなわれたりします。イベントを通じて「命の大切さ」を学んでもらいたいというコンセプトがあり、このイベントで捕獲した(他で入手したものでも良い)カブトムシの卵を孵化させ、さなぎを経て羽化させ成虫まで育てた人を表彰しています。
 昨年スタートしたのが出張授業、京都府立北桑田高校への「アントレプレナーシップ授業」です。京北地域にある府立高校で普通科と森林リサーチ科があり、普通科キャリアデザインコースの一年生に出張授業をしました。青年部から電気工事屋、石積み職人、犬の保育園経営(飼い犬の一時預かりや躾をする)、そして、工務店の僕の4人で講師をしました。全3回で、1回目は「今年の目標」を漢字で書き発表してもらい、2回目は「目標までどんな努力をしたか」、3回目は「もしも就職したとしたら」という設定で、講師の職場に就職した場合のビジネスのアイデアをシミュレーションしてもらいました。2018年度以降は、新一年生はもちろん、今回の1年生が2年生、3年生となっても継続していく予定です。そこから誰か就職してくれたらうれしいですよね。ほかにも11月の「京北ふるさとまつり」では、石積み職人さんが作った石窯、ペレット業者さんのペレット窯と、2種類の窯で焼いたピザで出店したりもしました。うちの部員は“ほんまもん”が多いと自負しています。

南山城村商工会青年部 蛭川尚 部長


 左:南山城村商工会女性部 木野友美子 部長

 京都府唯一の村にある南山城村商工会は、部員数も少ないので青年部と女性部、いつも合同で協力してやっています。メインの活動としては南山城村商工会が主催している「京・村まつり」。都市とむら、親と子をつなぐというコンセプトです。企画や準備から関わっていて、昨年は、きゅうりの一本漬けや飲みものを販売しました。僕は兼業で土木をしている仕事柄、準備のために会場の木津川河川敷をショベルカーで整えたりすることもあります。カヌー体験や魚つかみなどが人気で、竹水てっぽう作りや宝探しもあり、フォトコンテストも同時開催しています。
 また、11月に役場が主催している「むら活き生きまつり」へも出店しています。高山ダムにあるグランドで収穫祭をしており、地元で収穫した野菜などたくさんの出店があります。青年部は毎年、炭火で焼き鳥を焼いており、レシピは先輩からの伝統を引き継いでいます。炭は、実は自家製なんですよ。村の椎茸農家さんに木材を納品しているのですが、規定に合わなかったものを引き取り、それを炭にしているんです(笑)。その炭を使って焼いています。焼き鳥を100本以上並べて焼いていくのは圧巻で、毎年とても人気があります。昨年は1,200本用意していたのですが、おかげさまで午前中に売り切れました。
 1月には、管外研修として京都市内にある丸益西村屋さんで「友禅染め」を体験してきました。「京友禅体験入門コース」です。これも女性部と青年部と合同です。手ぬぐいやランチョンマットなどたくさん種類があり選べます。僕はスマホケースにしました。部員が集まる機会も少ないので交流も目的としています。青年部8人・女性部10人と、とにかく少人数で、そのうえ各事業には部員全員が参加できるわけではないことから、これまでの事業を、毎年ちゃんと継続していくこと自体も目的となっています。すでに青年部を卒業しているOBの方が参加してくださることもあり、サポートしていただきながらがんばっています。